前回の修理からまたしばらく使ってみましたが、またまた問題が発生しました・・・
(Bデッキ)再生ボタンを押しても回転しない
使い始めた時点では無かった症状ですが、再生ボタンを押してもテープが回転しません。しかし、モーターが回っているような動作音はしますし、キャプスタンは回転しているようです。
再生ボタンを押す度に状態が多少変化します
何度か再生ボタンを押していると、左側リールが不安定に回っています。
停止して再生ボタンをもう一度押すとまた回らなくなりました。
その状態でメカをよく見てみると、左側リールを回しているアイドラーの回転も不安定になっていることがわかります。
写真で、左側リールにくっつくようにある白いローラーがアイドラーです。再生ボタンを押すとアイドラーが右に移動してリールを回す仕組みとなっています。
一時停止の動作不良?
一時停止ボタンを押すと、アイドラーがリールから離れる動作をしますので、これが中途半端な動作をしているのではないかと考えました。
とりあえず一時停止ボタンを何度か押してみます。強く押したりはじくように押したりしましたが・・・
それでも変化はないようです。
メカを取り出し、動きを観察してみます。
アイドラーがどういう時にどのような動きをするのか、もう少し詳しく観察してみます。
すると、ひとつ発見がありました。
これはメカの裏側です。中央の黒いローラーがフライホイールでして、キャプスタンにつながっています。その軸に小さいギア(ギアA)が付いており、その近くにそのギアと何らかのタイミングでつながるであろうギア(ギアB)が付いています。
初めに分解したときからこのギアの存在はわかっていましたが、これらがどのような役割を担っているのかはわからないでいました。
アイドラーの動きはこのギアで制御されている
メカをいじっていて気づいたのですが、再生ボタンを押した後、ギアBを写真で見て右へ動かすとアイドラーがリール側に移動します。
この状態であれば、リールは安定して回ります。
つまり、再生ボタンを押した後、ギアBが右へ動くようにすれば安定して動作してくれそうです。では、どうやってギアBを右へ動かすのか?
それは、ギアAとギアBがかみ合うことで右へ動かしているのです。
ギアBは偏心するように取り付けられていますので、ギアAとかみ合って回るにつれて右側へ移動する仕組みになっています。なかなか面白いですね。
ギアにクラックが・・・
動作の仕組みはわかりましたが、ギアAにクラックが発生しており、空転してしまう状況です。
ここはプラリペアで修復してみます。
1.クラックが発生しているギアAを外す
2.ギアAを付属の型材で型取りする
3.ギアAを取り出し、そこにプラリペアの粉と液体を混ぜたものを流し込む
4.固まったらできたギアを取り出し、中心にドリルで穴あけします。
ざっくり書くとこんな手順でギアが作れます。
ちょっと不格好ですが、こんな感じでギアができます。精度はかなり怪しいですが、右のギアを回すことができればいいだけなので、こんなもんでも大丈夫でしょう。
ついでにギアBも硬くて回らなかったので、回してほぐした上でグリスを流し込んであげたら、かなりスムーズに回るようになりました。
この状態で動作させてみると安定して動くようになりました。
このギアが回るときに「ギー」という音がしますが、直す前はしなかった音であったので、本来はこんな音がするのかと、新たな発見もありました。
なぜギアで制御する必要が?
しかし、どうしてギアでリールへの動力を制御する必要があるのでしょうか?この構造ですと、キャプスタンが回らないとアイドラーの位置がリールの少し手前になります。もう少し観察していると、ピンチローラーもキャプスタンに触れる少し手前で止まっていることに気づきます。これでわかりました。
おそらくタイマー機能が付いているから、このような構造になっていると思われます。
このラジカセはタイマーが付いているのですが、このラジカセのようなガチャメカでタイマー動作をするには、あらかじめ再生状態にしておく必要があります。
つまり、ヘッドやピンチローラーが下りた状態でタイマー時刻まで待機することになります。
この状態ですと、ピンチローラーやアイドラーが押し付けられたままとなり、最悪変形する恐れがあります。
これを回避するためにこのような構造となっているものと思われます。あくまで推察ではありますが。
面白いメカのラジカセ
このような制御方法はこの手のラジカセではよく見られたのかもしれませんが、私は初めて見たので、なかなか凝ったメカだなぁと思いました。
ガチャメカでタイマー対応というラジカセは今では無いのではないでしょうか?
メカを保護するためのメカといった感じで、興味深いですね~