Pioneer PROJECT G5 コンポーネントシステムの修理:その4

 

nabesun.hatenablog.jp

前回のブログではアイドラーゴムを交換したので、テープ走行も安定しました。この状態でしばらく使って様子を見ていました。

 

テープの回転数が不安定になる

しばらく使っていますと、回転数が不安定になっていることに気づきました。
朝には遅いテープ速度が、その日の昼には元に戻っているような状態です。

初めは室温の影響かとも考えましたが、どうやら関係はあまりなさそうです。

(他のデッキの話ですが、寒いときは回転数が落ちることが多いように思います。)

 

ベルトが細いのが原因か?

回転速度が不安定な原因として考えるのが、交換したベルトが細いせいではないかという点です。

ベルトが細いことによって、伝わるトルクが不安定になっているのでは?と考えました。

 

幅が太いベルトに交換

元々付いていた平ベルトに近いサイズの物を千石電商より購入して取り付けます。
全く同じサイズの物はなかったので多少きつくなってしまっていますが、ゆるいよりはきつい方が良さそうです。

モーター軸のプーリーは平ベルト向けの樽状のものでしたので、平ベルトにすることで本来の位置にベルトが来ることになりました。

このプーリーには角ベルトもかけることができましたが、どちらかに寄ってしまうような状態になり、トルクの伝わり方が不安定になるような気がしていました。

 

トルクの伝わり方がなめらかに

細いベルトでは、動き出しやトルクがかかった時にベルトがスリップしていましたが、これが改善されました。

音揺れについては細いベルトでもそれほどひどくなかったので、音質面での違いはあまりないように感じます。

 

しかし、回転が不安定な状態は改善されず・・・

ベルトを交換してしばらく様子を見てみましたが、やはり時間を空けると回転が遅くなってしまいます。

ベルトが細くても回転の安定性にはあまり影響しないようです。

 

他の原因を考える

ベルトが原因でないとなると、どこが悪いのか・・・

ひとつ思いついたのが、モーターの回転数調整用の可変ボリュームです。

初めの方の修理で、モーターが全く回転しない状態で可変ボリュームを回していたらモーターが回り始めました。

これが、可変ボリュームの接触不良だとすれば、接点復活剤を塗布することで直らないかと考えました。

しかし接触不良であった場合、時間を空けると回転が遅くなるというのは考えにくいことになります。
(時間経過で留め方が変化した・・・?)

 

モーター内部の電解コンデンサ

電子回路の動作不良の原因として、よくあげられるのが電解コンデンサーの不良です。電子部品の電解コンデンサーは他の部品と比べて寿命が短いです。容量抜けとか呼ばれています。

今回のモーターにも、制御回路に電解コンデンサーが使われています。
モーターケースを分解すると制御回路があります。

回転速度調整用のボリュームも付いていますが、この左側に電解コンデンサーが実装されています。
写真では写っていませんが、同じ容量のものがもう1つ実装されていました。

容量が抜けているかは不明ですが、たまたま同じ容量のコンデンサーが手元にありましたので、交換してみることにします。

 

一応容量を測定してみます

交換前のコンデンサーの容量も一応測定してみました。

測定はマルチテスターを使用したので参考程度となりますが、片方の電解コンデンサーは容量が低下していました。

ということは、交換したことで症状が改善するかもしれません。

 

回転数は安定したようです

モーターの電解コンデンサーを交換し、元通りに組み立てて様子を見ていましたが、その後はテープ回転数がかなり安定しました。

電解コンデンサー交換前は、数時間使わないでいると回転数が遅くなっていましたが、交換後は数日経過しても回転数が安定しています。

どうやら、モーターの不具合は解消されたようです。

 

この修理をもって、カセットデッキの修理はひとまず完了しており、その後も修理せずに使い続けることが出来ています。

 

デッキのちょっとしたレビュー

デッキの構成はワンウェイの2ヘッドとなっており平凡なものでありますが、音はまずまずといった感覚です。

取り立てていい音という印象はありませんが、素直な音といったところでしょうか。

録音も問題なく行えましたので、再生・録音共に活用しておりますが、こちらも素直な音で使いやすいデッキという印象です。

 

メタルテープ・ドルビーNR B対応

メタルテープにも対応しており、もちろん録音もできます。
ただ、テープセレクターが2つのボタンに分かれているので、操作を間違わないように注意する必要がありますね。(NORM・HIGHスイッチは録音・再生時で切り替え、CrO2・METALスイッチは録音時だけテープに合わせて切り替える必要があります。)

ドルビーNR Bに対応しており、再生時では動作を確認しております。(録音時の適用はまだ使用したことがないです)
本体には「DOLBY SYSTEM」とだけ書かれておりますが、ドルビーNRのタイプ別の普及率を考えると、Bタイプであることは間違いないと思われます。

 

本体そのものの紹介にどれほどの需要があるかは不明ですが、
次回は、ちょっとした本体の紹介をしてみたいと思います。