Pioneer PROJECT G5 コンポーネントシステムの修理:その3

前回のブログでは、カセットデッキのモーターが回るようになったので、とりあえず持ち合わせているベルトを掛けて、使える状態にして様子を見ていました。

 

テープが巻き込まれることがある

しばらく使っていると、時々テープを巻き込んでしまうことがありました。
始めのうちはどのようにしてテープが巻き込まれるのかわからない状態でしたが、しばらく眺めていると、テープリールの回転が不安定であることがわかりました。

テープリールが不安定になる要因を探す

目で分かるほどにテープリールの回転が不安定であるということは、再生音が大きくゆがむと考えられます。
しかし、多少はゆがんていると思われますが、聴感的には大きくゆがんていません。
ということは、キャプスタンとピンチローラーの回転はある程度安定していることがわかります。

リール回転部を確認

組み立てて使えるようにしたばかりでしたが、もう一度分解して内部を見てみます。

リールの走行部は、黒いカバーで覆われております。
それを取り外すと、写真のように駆動部が見えてきます。

左右リールの中央にリールの回転部があります。これをアイドラーと呼ぶそうです。
そこにゴムリングがはめ込まれており、これの回転をリールに伝えてテープリールを回転させています。
このゴムリングを確認すると硬くてツルツルしている状態で、うまく動力を伝えられない状態になっているようでした。

試しに再生状態にして指で回転部をつまんでみると、巻き上げる力がとても弱いように思います。

 

アイドラーゴムを修復

アイドラーゴムはゴムベルトと違って、厚みがあって直径の小さいゴム(ゴムリング?)が使われています。

交換できそうなゴムリングを持っていませんでしたので、取り付けれていたアイドラーゴムを修復できないか試してみます。

表面を荒らしてみる

ゴムリングの表面がツルツルしているので、サンドペーパーで表面を少し荒らしてみます。

しかし、まったく効果がありませんでした。

その状態を眺めていると、動力が伝わらない要因はゴムリングの表面がツルツルしているという部分もありますが、なんだかゴムリングの直径が小さいように思えます。

つまり、ゴムリングがすり減ってやせてしまっているように見えます。

 

アイドラーゴムの交換品を探す

パーツ通販を使えば良さそうなゴムリングがありそうですが、納期まで時間がかかりますので、近場で調達できそうなものを探してみます。

ゴムリングの形状を見て思いつくのが、水道のゴムパッキンがあります。

本来の用途とはかけ離れていますが、比較的安価に購入できますので試してみることにします。

水道パッキンとゴムリングの違い

水道パッキンとゴムリングの表面を見比べてみると、表面仕上げをしている箇所に違いがあります。

ここに、リングをA部とB部に分けて説明します。

ゴムリング:A部→ガサガサ B部→ツルツル(表面処理あり)

水道パッキン:A部→ツルツル(表面処理あり) B部→ガサガサ

 

それぞれ用途が違うので当たり前ですが、特に水道パッキンのB部については、使っていくうちにボロボロにならないか気になるところです。

違いはあるがサイズは大丈夫そう

表面処理の違いはありましたが、ゴムリングに近い直径の水道パッキンを見つけることができましたので、取り付けはできそうです。厚さはゴムリングよりもちょっと厚いですが、少し押し込んであげれば取り付けることができました。

 

水道パッキンへの交換は効果あり

元からついていたゴムリングとは違いがありましたが、取り付けは可能でした。

アイドラーゴムに水道パッキンという本来の用途とは違うものに交換しましたが、リールを巻き上げる力はかなり増加した感じです。再生音にも影響なさそうです。

しばらく再生状態にしてみましたが、リールの回転が不安定になることもなく、安定して走行できるようになりました。

ただ、元からついていたアイドラーゴムよりも少し直径が大きいようですが、メカの駆動を見てみても大きな影響はなさそうです。

 

再度元の状態に組み立てて、これでまた様子を見てみることにします。

 

 

補足:カウンターベルトの交換

カウンターは巻き取りリールの回転をベルトで伝える仕組みですが、このゴムベルトも伸びて変形しており、指示値の誤差が大きい状態になっていました。

また、カウンターにはロータリーエンコーダーがつけられており、リールの回転を検出することでオートストップが機能する仕組みになっています。

リールが回っていることが検出できれば、カウンター指示値の誤差が大きくても使うことは可能ですが、使い勝手が悪いのでアイドラーゴムと同時に交換しました。